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かぐや

竹取物語は日本人なら誰でも知っている。

あの竹から生まれたかぐや姫の物語だ。滋味あふれた老夫婦に育てられ、かぐわしく育ったかぐや姫。最後は月の使者がお迎えにきて姫は月に帰っていく。

娘の結婚を控えたある日、ふと竹取物語が頭に浮かんだ。あの話はおとぎ話ではない。リアルな物語だ。だから、語り継がれるのだと一人合点した。

あのお話は、子の親離れ、親の子離れを語っているのではなかろうか。そう思われた。特に親のやるせない、如何ともしがたい情感を表わしているのではないか。

娘の結婚は月に返すことだ。私たちの手の届かない世界に住むということだ。精神における離別を意味するものだ。

娘とバージンロードを歩きながら、嬉しくもあり寂しくもある感情を人並みに抱いた。そして、別れだ、別れだと、心の中で一人呟いた。

(2013年第90回春陽会出品)