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出郷
あの日の柳の芽吹きは目に染みた。
大阪、四天王寺の柳の芽吹きを妻と末息子と私は見ていた。
末息子の出郷にあたり大阪に出てきた。
その日の大阪の街は前に見た街とは違って見えた。ビル群はいつもより高く、直線のエッジを立てて人を寄せ付けないように見えたし、高速道路の曲線は刃物を突き付けられているように感じた。コンクリートのビルはあくまでコンクリートという物質であった。その建物の中に人の営みがあるようには思えなかった。
芽吹いたばかりの一葉。この街でのどんな営みがあるのだろう。もまれて粉々になりはしないだろうか。萎れはしないだろうか。不安が募る。
芽吹きの柳の向こうには春のゆるんだスカイブルーの空が広がっていた。 私はホワイトの中に檸檬色が潜んでいる空が相応しいと思った。