< 画像クリックで全画面表示になります。> 



KIDS′

“キッズ・ゲルニカ”と言う活動がある。

“キッズ・ゲルニカ”とはピカソの描いた「ゲルニカ」(3.5m×7.8m)の大きさの画面に平和をテーマに子どもたちが描くという国際的なアート・プロジェクトだ。今から20年前、日本とアメリカの子どもたちの壁画交流から始まった。今では50国、250枚以上の壁画が描かれ、交流が図られている。

2007年ギリシャのヒオス島でキッズ・ゲルニカ国際委員会主催の平和壁画展と関連するイベントがあり参加した。

イベントでの一環で、大きなキャンバスに子どもたちが共同で絵を描いている様子を参観していた。ふと、近くの木陰に目を移すと小さな子が白い紙に何かを描いている。見ると人物だ。カラフルで明るいとてもチャーミングな絵だ。近づくと細部もはっきりしてくる。描かれた人物の胸元には地球がシンボリックに描かれ、その下にPeaceの文字。さらにその下の腹部にはヨットが描かれている。そのヨットに小さな旗があり日の丸が描かれていた。日本との交流を歓迎する子どもの心、平和を願う気持ちがストレートにこちらに伝わってきた。早速メモをとりカメラに収めた。

その後、ギリシャの子どもたちの絵をたくさん見る機会があった。明らかに日本の子どもの絵と傾向が違っている。カラフルで明るくて明快だ。また、見る風景も違う、気候もカラッとしていて日陰もくっきりしている。日本で見る花と同じ花でも彩度が違い鮮やかだ。風土が子どもたちの感性を育んでいると感じた。

ロマン派の画家ドラクロアの初期の傑作に「ヒオス島の虐殺」(1824年)という作品がある。ギリシャのヒオス島がトルコ軍に襲われ人々が虐殺された。そのことを伝聞で知った若いドラクロアが描いたものだ。子どもの描いた落書きのような人物像とは全く対照的な世界である。

版画KIDS′は子どもの描いた作品をヒントにキッズ・ゲルニカの活動や島の風土や歴史に思いを重ね再構築して多色木版画として制作した。